水曜日, 10月 29, 2008

珠玉の音楽(その9)


「バッハ:平均律クラヴィーア曲集」スヴャトスラフ・リヒテル

このCDはまだ自分の中では消化途上にあるCDで、聴けば聴く程どんどん深みにはまっていく気がします。アンナ・マグダレーナ・バッハというバッハの奥さんが書いた「バッハの思い出」講談社学術文庫、という夫バッハの事をいろいろ振り返り書いてある名著があるのですが(訳がとても上手だと思います)、その中で”不協和音は和音の近くにあるほど、それだけ強いものだ、だから夫婦の不和というものは一番堪え難いものなのだ”とバッハはよく言っていたそうです。なんだか、深い言葉ですね。
食いしん坊の僕なりに言いかえると”フグは毒がある部位に近ければ近い程おいしい”という言い方もできるのでしょうか。。。。。 ちょっと違いますね。

僕にとってバッハの音楽は、何もしたくない、考えたくないときによく聴いている気がします。寝起きの朝や、車のハンドルを握って高速道路をただ疾走しているとき、など。そしてしばらく聴いていると、スーッと頭が整理されてくる気がします。思うに、この世の中には目に見えない秩序や規律が法則があって、そんなものがバッハの音楽を通して、僕の耳に入ってきて、頭をきれいに整理整頓してくれているのかもしれません。

1977年には宇宙船ボイジャー号で宇宙に対して地球の存在や文明を伝えるためにこの音楽が搭載されたほどで、この先どんなに世の中の価値観が変わっても、この音楽を評価する価値観は揺るがないのだろうと思います。

この曲は2巻からなっており、それぞれ長短24調、合計48曲から成っています。CDでは4枚組です。第1巻の1曲目ハ長調は、とても有名な曲で、グノーの有名なアヴェ・マリアの伴奏にもなっています。個人的に好きな曲は第2巻のト短調、変イ長調、嬰ト長調、イ長調などです。是非聴いてみてください。

また、このCDはザルツブルクのクレスハイム宮殿というところでベーゼンドルファーのピアノで演奏したものを録音されているらしく、残響音がとても美しく響いて不思議な気持ちになります。ピアニストであるリヒテルはどちらかというとロシアの巨匠で、ラフマニノフやチャイコフスキーさらにはベートーヴェンなどを得意としている認識があったのですが、バッハも素晴らしいです。というよりこれは唯一無二のCDだと思います。

その他にもたくさんすばらしい曲がありますし、僕もまだまだ、これからも一生聴いていくことでしょう。

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