木曜日, 1月 07, 2010

「永遠の故郷」 夜、薄明、真昼、そして、、、

ここ3年、年が明けるたびにとても楽しみにしていることがあります、それは新刊の「永遠の故郷」を読むこと。日本を代表する音楽評論家の吉田秀和氏(現在96歳!)による、歌曲の紹介と解説、そして、それにまつわる回想などを綴った本です。

2008年に、「永遠の故郷 夜」で始まり、2009年に「永遠の故郷 薄明」、そして今年の1月5日に発売された「永遠の故郷 真昼」。これらのエッセイは文芸誌の「すばる」の巻頭にて基本的に毎月連載されており、3作目が発売された今でも「すばる」でのエッセイは続いており、刊行当初のいくつかのインタビュー()によると、全部で4部作となるようです。あと1冊、最後は「永遠の故郷 黄昏」?まだシューベルトの歌曲は紹介されていないけど、そのうち紹介されるのかなあ?待ち遠しいです。

ちなみに、いつもこの本が出たあとは、まずひととおりエッセイの中に出てくる歌曲で、まだ持っていないものをiTunesストアで購入して、本の進行に沿ってiTunes上でプレイリストを作成。そして休日の、まだ日が高いうちに風呂に入りサッパリして、日暮れ前からソファに座って、それらの歌曲をかけながら、ワインもしくはウイスキー片手に、珠玉のエッセイの頁をゆっくりとめくっていく、、、

うーん、、、これを至福と呼ばずして、ほかになにを至福と呼ぶのだろうか?

ドイツ圏の作曲家による歌曲はだいたい持ってはいるけれど、プーランクやグリーグなど、いまだ持っていなかった歌曲もたくさんあり、素晴らしい大曲から愛くるしい小曲までたくさん紹介されています。

2008年に「永遠の故郷 夜」をはじめて書店で手に取り、装丁のルソーの絵が気に入って買い、家に帰って読み始めました。そしてサブタイトルに「堀江敏幸に-」(作家(「熊の敷石」で芥川賞受賞)、仏文学者、早稲田大学教授)と書いてあり、フォーレの月の光の歌曲が紹介されていました。またそこでは詩人中原中也にフランス語の手ほどきをしてもらったことなども書かれてあります。
なんだか掴みから、”すべて僕好みだなあ”と思ったことを思い出しました。僕に限らず、本好きな人、さらには、フランス文学が好きで、クラシック音楽が好きな人であれば、なおさらこの世界観にどっぷりと浸れると思います。

ちなみに、昨秋、鎌倉文学館に行った時には、偶然にも2人とも鎌倉に縁があって、過去に特集を組まれたことがあったようで、その時に編纂した小冊子を購入したのでした。


「永遠の故郷 夜」で、特に僕が気に入ったのは、ゲーテの詩にヴォルフが作曲した「アナクレオンの墓」という歌曲。iTunesではハンス・ホッターが歌って、ジェラルド・ムーアが伴奏しているものを購入しました。 ゲーテの示す世界観、そしてヴォルフのつけた素晴らしい伴奏! また購入した曲も、ハンス・ホッターの優しいバスの声、そしてその歌声に、ぴったりと吸い付く伴奏、静かで長閑な情景が浮かぶようで、何度となく繰り返し聴いた曲です。

つづく「永遠の故郷 薄明」では、装丁の挿絵はポール・セザンヌの画。

エッセイでは、アポリネール作詞、プーランク作曲の歌曲がたくさん出てきます。けれども、その本で紹介されている歌曲のなかで一番好きな曲は、ブラームスの「聖なる子守唄」です。冒頭のチェロのによる伴奏の開始から、優しく、とっても親密な調べが気に入っています。購入したのはジェシー・ノーマンが歌い、ダニエル・バレンボイムが伴奏しているもの。去年のクリスマスには特によく聴きました。

最後に、直近発売された、「永遠の故郷 真昼」では、装丁はピカソの画。
もちろん、この本でたくさん紹介されているマーラーの歌曲も本当に素晴らしく良い曲ばかりだけれど、マルティーニ作曲の「Plasir d'amour(愛の喜び)」はオススメです。この歌曲の紹介での吉田秀和氏の過去の切ない回想も、とても心を打つものがあります。聴いているのは、エリーザベト・シュヴァルツコップが歌い、ジェラルド・ムーアが伴奏したもの、これは昔から持っていました。

早速、来年の今頃に発売されるであろう「永遠の故郷 黄昏」が待ち遠しいですが、それまでゆっくりと既刊の3冊を読みなおしながら、気長に待とうと思います。

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