土曜日, 9月 27, 2008

珠玉の音楽(その6)

立山が平年よりも12日早く初冠雪を記録したとのこと、つい2週間前に登った山とは信じられない程の季節の移ろいにびっくりです。いっぽうこちら東京も昨日と今日ではまるっきり空気が違ってましたね。秋の到来の号砲がいよいよ打ち上げられたようです。

さて、今日ご紹介させていただくCDはこちら。

「バッハ・モーツァルト・スカルラッティ・シューベルト」 ディヌ・リパッティ


前にも書きましたが、カリフォルニアにいた頃、ふらっと入ったシューベルトのピアノソナタのコンサートに感銘を受けて、すぐさま近くの中古CD屋に駆け込みました。
そして、クラッシックコーナーにいた物静かな黒人の店員に話しかけ、おすすめなどいろいろ尋ねて、1時間程いっしょになって吟味して勧めてくれたCDの中の1枚です。
それ以外にはベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調「英雄」、バッハのミサ ロ短調、ブランデンブルグ協奏曲、モーツァルトのピアノ協奏曲弟20番ニ短調、ショパンのバラード集なども勧めてくれました。

その時彼に紹介してもらったCDはいまでも本当に素晴らしいチョイスだったと思うけれども、このCDはその中でもとりわけ僕の心を捉えました。ある作曲家の曲のCDという形態でなく、作曲家もバッハ、モーツァルト、スカルラッティ、シューベルトと様々で、これらを演奏しているディヌ・リパッティというピアニストのピアノ演奏集のCDといった感じです。

初めて聴いたとき、とても気高く、オシャレでいて、でももの凄く誠実な演奏だなあと思いました。また、その後ライナーノーツを読むと、彼が稀有な人格者だったことがわかり、また33歳で白血病のため夭折したことを知りました。

とにかくこのCDには感動して、当時カリフォルニアから友人にこのCDを贈ったほどです。その時に一緒に同封した手紙の推敲が昔のマックに残っていたので、以下に記載します。

”ディヌ・リパッティという人が演奏した曲の数々をまとめたCDです。こんなピアノを弾く人ってこれからもう現れないんじゃないかというくらい凄い人です。というか深いです。うまく説明できないから、何度も聴き直して何がこんなに僕を惹き付けるのかなあと考えています。.....(中略).....ピアノを通してどこか遠くにある「何か」と交信している感じがします。個人的な意見になりましたが、このCDに出会っただけでもクラシックを聴くようになって良かったと思える1枚です。”

とのこと。その思いは今も変わりません。

バッハのパルティータの1番ロ長調で始まり、バッハの小曲※が続き、スカルラッティの美しいソナタが3曲、そのあと大作のモーツァルトのピアノソナタ8番イ短調、そして極めつけはシューベルトの即興曲から2曲、変ト長調変ホ長調(携帯電話の着信音にしています)。どれも大好きな作曲家の、大好きな作品の、大好きなピアニストによる至上の演奏です。
※フランスのブザンソンでの演奏会にて、このCDのようにバッハのパルティータ、モーツァルトのピアノソナタ8番イ短調シューベルトの即興曲と弾き、最後のショパンのワルツ集を最後の1曲だけ残して力尽きてしまいました。そしてしばらく沈黙の後に静かに弾き始めたのが、「主よ、人の望みの喜びよ」で、この小曲の中にも入っています(その時の録音ではありませんが)。演奏し終わったリパッティは静かにピアノを閉じ、そしてその数ヶ月後にわずか33年の生涯を閉じました。

いままでも、そして、これからもずっと大切な1枚です。

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